zencro’s diary

乱╲(・ω・)/歩 ╲(・ω・)/奇╲(・ω・)/譚

また別の朝の風景

ナカムラさんが布団から出てこない。「どうしたんですか、仕事に遅れますよ」「ンー」モゾモゾモゾ。布団のこんもりした山がイヤイヤをするように緩慢にうごめく。「どこか、具合がわるいんですか?」「ンー?ンーン」モゾモゾモゾ。「ごはんですよ」「ねむい」「もう起きる時間ですから」「もうちょっとだけ…」とうとうモゾモゾもしなくなった。「ナカムラさん…?」「…ぼかぁしあわせだよーもうここから出ないんだよー」「ダメですよ、またアケチ君に『寝坊助は帰れ』と言われてしまいますよ」「探偵さんだっていっつもゴロゴロしてるじゃない、いいよねぇゴロゴロ…ぐぅ…」ああいけない、ナカムラさんが寝入ってしまう。「困ったな…仕方ない」ナカムラさんの足元に行き、えいやっ!と掛け布団を引っぺがす。「ひぃえええええ〜」ヨレヨレの縦じまパジャマが巻きついたガリガリの体が露わになった。「さむいー」敷き布団の上で、自分の体を抱え込むいつものポーズにさらに体を丸め横たわるナカムラさん。安らかな土中から掘り起こされた幼虫のようなその姿に哀れさを感じつつも、ここで手加減してはいけないと心を鬼にして眼下の体を揺り動かす。「だめです!ナカムラさんの連続遅刻の記録をこのままむざむざ更新させるわけにはいきません。さあ、布団片付けますから、顔洗って来てください!」わきの下を抱え無理矢理布団から引き起こすと、渋々ながらようやく立ち上がり、よろよろドタドタとトイレへむかう。その背を見届け、味噌汁を温めなおしちゃぶ台の上に朝食を並べた。

しかし一向にナカムラさんが出てこない。「はっ!まさかまた」 トイレのドアをドンドン叩く。「ナカムラさんっ!ダメですよトイレで寝ちゃ!起きてください、ナカムラさん!」ドンドンッ。「ンー、だーれー?」「誰って、俺ですよ」「えー?オレオレ詐欺ー?」「何言ってんですかカガミですよ、早く出て来てくださいナカムラさん」「ここは鏡じゃないよー」「そこは鏡じゃないですよ!俺がカガミですよ!」「え、カガミー?」「…そうです、カガミです。早く支度しないと遅れますよ」「えー、だぁれー?」「カガミですってば!」「ここは鏡じゃないよー」「だから俺が、カガミです!頼みますよ、ここを開けてくれるだけでいいんです、あとは何にもしませんから!!」「ふぁー、あーカガミねー、…えっ?俺なんでトイレにいんの!?寝ちゃってた?ええっいま何時!?」ジャー、ゴボゴボゴボ、ガチャッ。「わああああカガミなんで起こしてくれなかったのーーーうわぁぁん遅刻だよぉーーー」バタバタバタ。

「はぁ…今朝もつかれた…」

ナカムラの常軌を逸した低血圧に対抗すべく、今後より一層の体力作りに勤しまねばと思うカガミであった。