zencro’s diary

乱歩奇譚SS

「や、きょうは一段と冷えるねえ」
帰って来たナカムラは猫背をさらにまるめてブルっと震え、六畳間に座る。
「ナカムラさん、また靴下も履かないで。素足じゃ、ますます冷えますよ」
「だってムレるんだもん。家にいるときくらいうっとおしいもん外して清々したいじゃん」
そう言いつつも、裸足の足をこすり合せる様は、いかにも寒そうだ。

「裸足は健康に良いと聞きますが限度があるし、ナカムラさんは特に冷える体質なんですから」そう言うと、カガミは入れたばかりのほうじ茶をマグカップに注いで、台所から出てきた。「はい、熱いですよ」と湯気の立つカップをナカムラに手渡す。

「わ〜ありがと〜」薫りと温かさに目を細めてゆっくり口をつける。「いいなぁー、帰ってきて、話したりお茶飲んだりさ」熱いほうじ茶がのどを通って胃の腑に落ちていくのを感じながら、しみじみと言った。「今までずーっと、ドア開けたら、真っ暗でシーンとしてるばっかりだったからさー。誰かがいる部屋に帰るのっていい」

それを聞いてカガミはお茶を飲もうと口に運びかけたカップを元に戻した。「わかります。俺も一時期はひとりだったから」

「…あ、ごめん」

「いえ、俺も今こうしてナカムラさんとお茶飲んでるのが嬉しくて。誰かと一緒に居るのって、いいですね」

「うん」

窓の外では今も冷たい雨が降り止まず、大家の庭木も濡れそぼって凍えそうに震えていたが、部屋の中は暖かかった。

 

「ナカムラさん、足湯って知ってますか?」

「足湯?あぁ、足だけお湯につかるやつ」

「はい、足が湯に浸かっていると全身までぽかぽかしてくるとか。ちょっとここでやってみませんか」

「へ?いやいや、タタミが水浸しになっちゃうでしょー」

「いえ、お湯の代わりに、熱い湯で絞ったタオルで包むんですよ。タオルが冷める前に別のタオルに取り替えて」

と言いながら、カガミはポットのお湯を洗い桶に入れて手際良く手際良く熱いタオルを用意した。

「はい、ナカムラさん」

有無を言わせず足を出させる。

「ええー、いいよ、だって靴下脱いだばっかで洗ってないし臭いよ?」

「ちょうどいいじゃないですか、ついでに拭いてあげます」カガミはナカムラの片足を掴んで熱いタオルでくるみ、丹念に拭い始めた。

「…わーあったかくてきもちいいなー」

うっとり目を閉じて、思わず言う。

ひと通り拭い、新しいタオルに交換してまた足を包みこみながら、ふとカガミが呟いた。

「…ナカムラさんの足指、良いかたちですね」

「へ?」

ぺろ

「!?」

ちゅ、ぺろぺろ

「ちょ、何してんのカガミ」

ぺろぺろぺろぺろ

「やだっ、おい、離せよ…んっ」

カガミはナカムラの右足首を掴み、足指を一本ずつ咥えては吸いつき舌を這わせ、ゆっくりと味わうように舐めている。

「止めろって、…汚いよ、足なんて舐めたら、ひゃうっ」

ナカムラは羞恥と戸惑いに震え、舌が蠢くたびにぞくりと身を竦ませる。そんなナカムラの様子に目を細めて、カガミはなお舐め、吸い続ける。

「足、俺が舐めて綺麗にしますから」

ぺろ、ぺろ、ぺろ

「ふ…、んっ」

唾液を纏わせ舐め吸いつくたびに、舌はぴちゃぴちゃと音をたてる。指の股から爪の間、付け根やくるぶし、かかと、つちふまず。

抗う力も抜けたナカムラが無言の涙目で訴えるように見つめる中、ナカムラの足で鳴る水音は、外の雨音と呼応するようにひたすら続くのだった。

 

 

 

カガミのベロとアゴは多分この後しばらく筋肉痛でしょうなー