zencro’s diary

乱歩奇譚SSと雑記

幼馴染(乱歩奇譚ワンクリお題「年齢操作」)


「ケースケケースケ、ここ!寄ってこうよー」

くいくいと制服の端を引っ張るゼンシロウ。
「ゼン、そんなこと言ったって僕お金持ってないし、買い食いなんかしたらかあさんに怒られるから」
「あっそっかあーケースケんち厳しいもんなぁ」
「ゼンはお金持ってるの?」
「あれ。そういえば、おれも金無いな」
「ええっ」
「あははーこいつぁーあぶないとこだった~」
けらけら笑うゼンシロウに、絶句するケイスケ。
「だったら誘わないでよ!」
「ごめんね?」
ゼンシロウは、いつもの上目遣いでケイスケの顔を覗き込む。
(…だめだ、この角度で来られると何も言えなくなっちゃう)

幼稚園からずっと一緒に通い続けてきた二人も、今や中学生になっていた。

「あのさ、ケースケは高校どうすんの。やっぱK大付属?」
「うん…」
「ひゃー、やっぱり?おまえんちキョーイク熱心だもんねー」
(行きたくない)
「え?」
「い、いや… ゼンは近所の都立狙いだよね」
「そーそ、おれ私立って柄じゃないし、ウチもビンボだし。でもあそこ中学よりも近いから、朝もっと寝坊できるんだ、いいだろ?」
(いいなあ…)

「ゼンは、将来何になりたい?」
「おれはやっぱり警察官かな」
「幼稚園の時から変わんないんだね」
「いや、実はパ〇レイバーの特車二課なんてほんと理想だけど」
「警察官か…」
「ケースケはお前の父さんと同じ商社だっけ」
「うん…」
「おまえ英語得意だもんね」
「…やだ」
「え?」
「K大付属なんて行かない。父さんのこと好きだけど、商社だってどうでもいい。志望校、僕も都立にする、僕も警察官になる!」
「何それ、おれと同じじゃん!…あら~もしかして、ケイスケおれのこと好きなの~?」
「い、いやそうじゃないけど…だって、だってさ、母さんが、僕は父さんと似てないって、真面目で硬すぎるから商社には向かないねって、いつも、言ってたし!」
「うふふふふ、テレなくてもいいのよ~?うふふふふ」
「…ゼン、きもちわるい」
「がーん」
「あ…いや、そうじゃなくて」
「ケースケ」
ゼンシロウはがばっとケイスケの肩に腕を回した。

「いっしょに、頑張ろうねー?」

ななめ下から上目遣いでケイスケの顔を覗き込む。
目が合って、ケイスケは胸の奥で火が点いたような気がした。