zencro’s diary

乱歩奇譚SS

朧月夜の後日譚


1.
「ナカムラさん、ちょっといいですか?」
会議室から退出する際、カガミが声をかけてきた。他の署員がみな退出した後、俺とカガミだけになると、カガミがいきなり頭を下げた。
「この間、宴席では失礼しました!」
あれ?憶えてたの?
「酔っていたとはいえ、申し訳ありません…」
「ひょっとして、他の奴らから聞いた?あーもういいよぉ、酒の席だし無礼講だしねえ。カガミ存外お酒弱いんだなあ」
「いえ、ナカムラさんの意向も聞かずに一方的になど、許される事ではありません。ましてや酒の勢いに任せて、だなど浅ましい事この上無いことです」
……あれ?
「なので、シラフな今あらためて言います。ナカムラさん、キスしてもよいですか?」
何か堪えているような面差しで、真正面からじっと俺を見つめている。
「ちょちょっと、おまえ何言ってんの? 酔っぱらってキスしちゃったーゴメンね、って謝って終わりじゃないの?だからその事ならもういいよって」
「いえ、それでは私の気が済みません。キスしていいですか?」
「だから何で!?」
ヤバいよこいつ、目がマジだよ?次第に前傾姿勢になってる目の前のエリート候補生から逃れようと、ジリジリあとずさりながらこの場をことなきにおさめようと必死になる俺。
「ままま、ちょっと待てって、おまえの気が済まなくても俺はごめんこうむるからさ、お前も俺の意思尊重してさ、とりあえず落ち着こう、な?」
「ナカムラさん」
「はい?」
「私が嫌いですか?」
「はいー!?」
「嫌いだから、キスなどしたく無いと……」
「いやそうじゃないだろ!ここ日本、日本では男同士が謝罪でキスする習慣は無い、OK?」
「私はあなたが好きです。これは理由にはなりませんか?」
あら、あらら〜
「え、何それもしかして恋愛対象として、って意味ィ?」
とからかうように言うと、「そうです。」と言う。うわぁガチなの?
「私は、ナカムラさんが好きです。」
「えっと」
「宴席であなたに無理矢理キスした事、実は憶えていませんでしたが、同席していた先輩が教えてくれました。

『お前、キス魔だったの?』
『ナカムラ、さすがに力じゃお前に敵わなくて、なすがままでさあ、最後なんて涙目になってたんだぜ〜まあ無礼講の席とはいえ、ハメ外しすぎないようにな。それにさ、やっぱマウストゥマウスなんて辺り構わずするもんじゃないぞー』
『好きでもない相手にはさ。』

「先輩に言われて思い出したんです、酔いに任せてあなたにキスした事を。そして、考えたんです、酔ったからといって好きでもない相手に自分はキスするだろうかと。」
射抜かれるかと思うほど強い視線でカガミは俺を真っ正面から見た。
「私はナカムラさんが好きです。ずっと好きでした。気付いたからには、自分の心を欺く事は私にはできません。だから、あらためて伺います」

「あなたの唇にキスしても良いですか?」



2.
「ナカムラさん、付き合ってる人いるんですか?」
車内でひと息ついてコーヒー飲んでいる時、唐突に問われた。
「えー」
「将来を誓ったお相手がいらっしゃるとか」
「いや、」
「もしやすでに内縁の妻とか」
「ないえん」
「まさか、隠し子が!」
「あのなカガミ」
「本当の事を言ってください、伴侶たる方がもういらっしゃるなら、私は身を引く覚悟です!」
……
「お前ね、その突っ走ってまくし立てるスタイルよしなさいね。取調べでそんな調子だと相手言葉引っ込めちゃうし、触れなば落ちん風情のヤツでもパニック起こして話にならなくなっちゃうよ?あとね、顔近すぎ」
と言うと、ハッとした顔で体勢を元に戻す。
「すっ、すみません、ついむきになって」
「わたしゃね、女性しか好きになった事ないんだよねー。君はどうなの?男性と付き合ったりしてたの?ああ、いやこの新宿に着任してわたしも長いからさあ、一応そのへんの話には柔軟なつもりだよ」
「私は……女性と付き合った事はありますが、好きになった女性とは、まだ……」
「ああ、君の事だから向こうからやってくるんだろうねえ。でもへーえ、カガミ君が好きになった女性ってどんな感じなのかなあ。さぞかし素敵な人なんだろうねえ」
「はい、ゼミの先輩でよくアドバイスをしてもらいましたし、両親が死んだ際にも、身寄りの無い自分に親身になっていろいろ世話をやいてくれました」
「ほう、恩人でもあるんだね」
「ええ。自分の夢と将来をしっかりと見据えて努力を怠らず、困っている人を見たら手を差し伸べずにはいられないような、素晴らしい先輩でした。その後海外の大学に行き、その地で結婚されたと聞いています」
「そうかぁ、叶わなかった恋という訳かー いや悪かったね、立ち入った事を聞いて。でも君の憧れの人はずいぶんと立派な人間だったんだなあ。そんな人と出会いともに過ごした時間は、君の人生の宝だね」
「はい、先輩が渡航した後もずっと、彼女の眼差しを背に感じながら正しく生きようと努めてきたつもりでした……なのに」
「へ?」
「それなのに、酔っぱらって相手の意向も聞かずいつも指導してくださっているナカムラさんに無理矢理キスするなんて!しかも、指摘されるまでその強制わいせつ行為を忘れているなんて……!」
「あー」
「このままで私は、先輩に顔向けができません!ですからナカムラさん、どうか私に責任をとらせてください!」
「えー」
「よろしくお願いします……!」
「だからさカガミー」
「あっ、そうでした!」
再び俺の方に顔を急速接近させながら言った。

「付き合っている人は、いるんですか?いないんですか?」



3.
カガミとは職務上2人で行動することがほとんどだから、今回の一件は本当に参った。
付き合ってる人は別に居ないけど、なんてうっかり正直に言っちゃったら、もうぐいぐい押してきて、たまらず回れ右+ダッシュで逃げたんだけど足の速さで俺があいつに敵うわけもなくアッサリ捕獲されてさあ。それに逃げおおせたとしたって、クルマほっぽって自分だけ帰るわけにいかんしなあ、はーあああ……
「逃げないで下さい、ナカムラさん!」
ここだけの話、怒気をはらんだこいつの声、おっかないんだよ。
「わかった……、わかったよぉ……、そう……、怒鳴りなさんな…...」
逃げるのを諦めて、息を整えながらやっとそう言った。奴の方を見ると、ちくしょう平然としてやがる......いや、表情は鬼気迫ってるけど。
「もう一度確認します。ナカムラさんは現在お付き合いしている方がいらっしゃらない。フリーですね?」
「う、うん」
「ううん、ですか、うん、ですか?」
「……うん」
「ありがとうございます。それならば、私がお付き合い候補に名乗りを上げても良いですね?」
「あのさ、カガミ」
「はい」
「俺にそこまで積極的になる理由ってなんなの?」
「それは当然、あなたを好きだからです」
「いやだって、俺自慢じゃないけどこの新宿で職務上ゲイのたまり場とか出入りしても、一度も声かけられたことないよ?お前だってさ、さっき打ち明けてくれたように女性と付き合ってたし憧れの女性だっていたわけだろ?そんなお前が、今、なんで俺なの?」
「私も世間で異性愛者が同性愛者になる事例があるのか専門外なのでわかりませんが、実際に自分は他にも大勢居る場であなただけにキスをして、そして今もあなたが好きでキスしたいと思っています。これでは説明になりませんか?」
「はー、なるほど」
「わかっていただけましたか、では!」
「いやまて」
「今度は何です」
「だって付き合うなら女性が良いですもんわたし」
「……ナカムラさん、私が嫌いですか?」
「いやそうじゃないって、でも」
「嫌いですか、好きですか!?」
「うー」
「どっちなんですか!!!」
「す、すき?」
「よかった……!」
輝くばかりの満面の笑み浮かべてひしと抱きしめられちゃったよー もうどうすりゃいいの?
「私は女性としか付き合ったことが無いですが、ナカムラさんが好きです。ですからナカムラさんも、今までは女性としか付き合ったことが無くても私の事が好きならば、何の問題もありませんね……!」
「なあ、だから俺の好きっているのは恋愛感情からくる代物じゃなくってだな、」
「待ちます」
「え」
「あなたが、キスされても構わないと思ってくれるまで、私は待ちます」
さらにぎゅうぎゅう締め付けられながら、俺はもう酸欠の金魚のように口をぱくぱくさせるしかなかった。

「ですから、もう逃げないでくださいね、ナカムラさん」


 
4.
ナカムラさんが好きになった人ってどんな方だったんですか」
あの「待ちます」宣言から、カガミが俺に迫って来ることは無くなったけど、ほぼまいにち顔をつきあわせているから何かしら会話はする。そしてその内容は、互いの出会う前の事が多くなった。
カガミの両親が健在だった頃の話、俺が独り住いじゃなかった頃の話。俺の方が12年長く生きてるせいか、自然と俺の話をカガミは聞きたがった。でも語れるほど愉快な人生送ってないし、昔語りして楽しいほどじいさんになってもいないし、正直言って自分の話なぞ照れるばっかりだよなあもう。
そして、どんなにはぐらかしても、このテーマにこいつは食い下がってくる。
「君さあ、そんなにわたしの振られた話ききたいの?」
「ナカムラさんが昔を思い出して悲しくなってしまうというのなら、無理にとは言いませんが」
とか言われた上で断ったら、俺の人生負けっぱなしの惨憺たるものだって言っちゃうようなものだしさあ。
「ナカムラさんが好きになった人の話を伺って、その美点を学ぶことで私もその高みに近づきたいんです」
「高み」
「手本があれば、上達は早いものです!」
「手本」
すんごい前向きだねえ。体育会系って、みんなこうなのか。
謎の上達を果たしたカガミってどんな感じなんだろうね?手本が女だったら女っぽくなるのかな。そういえばこいつ妹いたよな、たしかトキコっていう。似てるのかなあ、兄貴が女性化した感じかな。こいつが女だったら……造形整ってるし、まあ美人だろうなあ、こいつの髪長く伸ばして、ちょっとこう身体もちょっと華奢にして胸とか腰に丸みもたせてさあ……いやあ惜しいねえ……
「……ナカムラさん、なにニヤニヤしてるんです?私の話聞いてました?」
「ハッ」
「あ、あっあぁごめんねぇ、聞いてた、聞いてたよ〜でもさあ私の好きだった人なんて、ごくごくフツーの人間だよお。べつに優秀だから惚れるってわけでもないでしょ?あ、それとも何かい、カガミ君わたしが優秀だから好きになったの?そういう話なら断然キョーミありますねえ、んん~?どの辺りかなぁー?」
「ナカムラさんは、もちろん優秀で魅力的で、私がこの先ずっと目標とすべき憧れの先輩です。あ、先日までは魅力的、という形容が不覚にも抜け落ちていましたが、幸い取り返しのつかないほど時が経ってしまう前に正すことができました!よかったです」
「わあ、一気に言い切った」
ちょっと、こいつおかしくない?オツムも身体能力も抜群にいいはずだけど。
まったくねー、あったまばっかりでもカラダばっかりでもダメよねー。
「ですから、そんなナカムラさんが愛を捧げる対象として選んだ事がある方ならば、、それはもう優れた人間に決まっています」
「愛を捧げる」
体育会系ってこうも臆面もない台詞をバンバン言っちゃえる人種なのかねえ。
「まあそんなに乞われちゃあ、披露しないのも野暮だしまあいいでしょ、今日はあと署に戻って報告書まとめるだけだし、ウチきて話しながら呑む?」
「ナカムラさんのお宅に!?ついに、プライベートで私をご自宅に呼んで下さるんですか、はいっ、ぜひ伺います、ほんとうに…...ありがとうございます!!」
「あ、いや、そんなにはげしく喜んでもらっちゃうとなんか申し訳ないというかねー、あと誤解のないように言っとくけどわたしゃ別にー」
「嬉しいです、こんな日が本当に来るなんて...」
あーちょっと俺、とんでもない事言っちゃったかなあ、とんでもないやつ呼んじゃったかなあ〜

「ぜひ詳しく教えてください、ナカムラさんが好きになった人ってどんな方だったのか。」



5.
というわけで、俺んちである。
ドアを前にしたおれの背後には、多少緊張した面持ちのカガミ。
こいつ招き入れる事は、まあ大丈夫だろと思ってるんだが懸念事項がひとつふたつあった。
いいや、もう観念して聞いちまえ。
「カガミ、君って猫へーき?」
「は?はあ、アレルギーとかはありませんが」
「んー、あとねぇ……まぁいいや、さあどうぞぉー」 「はい、おじゃましま…...」
「ゼンシローッ!!」
「……ファッ!?」
…...あああ、カガミが目を白黒させてるな、無理もないけど。
「ちょっ、離し…...な、ナカムラさん、この方誰です!?」
「あー、ごめんねぇカガミ君、いま一緒に住んでる子なんだけどさぁ……おいこら、ちょっと離れなさいって…...」
「アレー?ゼンシロー違うね、あんた誰?」
「はいはい、まずは靴脱いで上がらせてよねえ」
機関銃のように疑問をぶつけ続けるのをやり過ごしながら、狭い玄関から六畳間へ入り、まだ狼狽しているカガミと一緒にちゃぶ台周りに座らせる。
ヤカンに湯を沸かし、自分史上で一、二を競う速さでお茶を淹れて二人の前にトンと置きつつ、
「ええっとねー」
子どものようにキョトンとした目で見上げられるなか、よっこいしょと座りながらハラを決めて切り出す。
「こっちマリアね、マリア、こちら同じ職場で刑事のカガミ。っとマリア、ちょーっとお口にチャックしてて」
マリアがまたマシンガントーク始めようとするのを制し、カガミの方を見て
「実はさ、むかし潜入した店がその時の発砲騒ぎで客が寄り付かなくなって潰れてさあ、この子が放り出されて路頭に迷ってるとこを見捨てるわけにいかなくって一時的にウチに連れてきたんだよ。そのあと再就職先は見つかったんだけど、そのままここに居ついちゃって。あ、そこの猫は下の大家の猫なんだけど、この子がちょくちょく食い物やるんでよく来てるんだよ。」
「ええとナカムラさん」 「はい?」
「内縁の」 「違うからね?」
「あ、マリア、息はしててイイんだからね。何も食べてないんだろ、これから呑むから、ツマミ作ってくるよー待ってな」
再び腰を上げて台所へ入る。
「ゼンシロー、おなべに肉じゃがつくってあるよー」
「へ?こないだ俺が作ったの見てて憶えちゃったの?どれどれ、おっ、美味い」
「ほんと?イケル?」 「うんいけるいける」 「ヤッタネー!」
首にタックルかますマリア。
振り返ると、カガミがジトッとした目で俺たちを見てる。
「ナカムラさん、妻子でもない女性と一つ屋根の下で生活するのは警察官として好ましいとは思えませんが」
「君だってトキコさんと暮らしてるじゃない」
トキコは妹です!」
「まあまあ、カガミ君もおなかすいたでしょ?その肉じゃがけっこう美味いよ、つまんでてよー奴とかおしんことか用意するからさあ、ほらぁ足も崩して」
正座してこぶしを膝の上で握りしめたままのカガミに言い置いて、古いが何とかまだ動いている冷蔵庫の扉を開け、前途多難な様相を極めた酒盛りの準備を開始した。

あーあ、やっぱり連れてきたのまずかったかな……でもまあ、組んで仕事してるからにゃあいつかは知れることだろうしなあ。


  
6.
「ねーね、カガミはゼンシロー好きなの、好きね?ワタシもねーゼンシロー好き。とっても好きだからお嫁さんにしてー言ったけどダメよって。えーんフラれちゃったねー、じゃあパパって呼んでいい?って聞いたらそれもダメって、えーんなんでー?」
「それは実際あなたがナカムラさんの娘ではないからでしょう」
「でもでもね、お店では娘ちがうけど男のひとパパって呼ぶと嬉しがるよ?パパって日本では優しい人って意味でしょ?ママさんそう言ったね。ゼンシロー言いにくいからパパって呼ぶね、でもダメって言うから練習したね。ゼンシローゼンシローゼンシローって」
「ゼンシロー」
「そうそー、カガミはなんでゼンシローのことナカムラさんって呼ぶの?好きならファーストネーム呼べばいいのに。カガミはファーストネームなんだよね、いい名前ねカガミー」
「違います」
「えー?」
「マリアー、カガミってのはファミリーネームだよ、俺のナカムラと一緒。ほらほら、そろそろ並べるからちゃぶ台の上から湯のみどけてこっち持ってきてー」

「ナカムラさん、では私の事も『ケイスケ』と呼んでください」
いざ乾杯、というところでカガミが言い出す。
「えー?」
「うん、ケースケ!ケースケって呼びやすい、好きー!」
「いえ、あなたでなくナカムラさんが」「ゼンシロー、マリア、ケースケ!オーケイ、バンザイ!」
「万歳じゃなくて乾杯だよー。じゃ、まあとりあえずカンパーイ」
ごくごくごく。
「ナカムラさん、誤魔化さないでください、以後私の事はケイスケと」
「ええー??おれたちほとんど一緒に居るときは職場だよ?みんなの前で君の事ケイスケ~なぁんて呼ぶのお?小学生じゃあるまいし」
「いえそれはもちろん、二人だけの時にケ・イ・ス・ケ♡と……」
「やだ」
「なぜです」
「だって気色悪いでしょ、それに語尾にハートマーク付けんな」
「ナカムラさん」
「なんだよ」
「やはり私の事が嫌いなのでは」
「だーかーらー違うっつーの。そうだ、君の方こそわたしの事ゼンシロウって呼ばないの?釣り合い取れてないじゃないー」
「それは」
「うん?」
「私にとってナカムラさんはナカムラさんでしかあり得ないからです。ナカムラさん類ナカムラさん目ナカムラさん科、『ナカムラさん』はナカムラさんを示す唯一絶対の呼称ですから、それ以外でお呼びするのは不自然であり不可能です」
「カガミ、ひょっとしてもう酔ってる?」
「何を仰るんですかヒック」
「ああああそうだったーこいつ弱いんだったー。マリアー、冷蔵庫のお茶持ってきて」
「はぐらかさないでくだひゃ……れ?あー、ナカムラさんだぁ」
「おいおい、しっかりしろよカガミぃ」
「ナカムラさん、すきです、キスしましょう」
「うわっやべ、おい離れろ離れろってばんんんんん」
「えええー!?ゼンシロー、ケースケ、ズルいー、マリアもー!」
「ん!?んん、んんー!んんんんんー!」
……ぷはぁ
「アレ?ケイスケ寝ちゃったの?ゼンシロー、おふとんひく?」
「マリア、ひく、じゃなくって、しく、ね……あー結局こうなるのか……」
「いえナカムラさん関西の方ではひくとも言いま…ふ……ぐう」
へえーそうなんだ。ってもうおじさんはつかれたよとほほ……
「ああ、じゃ俺たちだけで食べちまおっか。後片付けはしておくから、あとでこいつのぶんのふとんも敷いとくれる?」
「うん、わかたよ。んふふー」
「なんだよその笑い方」
「ゼンシロー、ケースケ好きなんだねぇ」
「……まぁ、かわいい後輩だからねぇ」
「んふふー」
その気になるなと言われても、なんて古い歌があったっけなぁ。はー、クセになりそう……