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zencro’s diary

乱歩奇譚SSと雑記

現二十面相逮捕直前

(初出:privatter 2016-11-16)
「ナカムラ、お前も来るか?」
探偵さんはそう言っておれに目を向ける。
「いっやあ、おれが動いて、万一あいつに気付かれでもしたらマズイっしょ。それにさ、ヘタすりゃおれだって怪しまれる立場だもんね共犯として。仕事でこれだけつるんでたんだから疑われても無理ないしさ、状況スッキリさせるためにおれは置いてった方が良い。……それとね」
「なんだ」
うずきだした両の腕を抱え込みながら、おれはなんとか探偵さんの顔を見て言い継いだ。
「お願いがあるんだけどね。確保するまでの間、おれはこの取調室にこもってるからさ、外から鍵かけて君が選んだ見張りを1人立てといてほしいんだよ。おれが、誰とも接触できないように」
「……そうか。わかった」
「良かった、ありがとね」
「フン」
と素っ気なく返して、彼はすたすたと出て行く。

バタン

扉が閉ざされ、施錠の音が聞こえた。
両肘をついて俯く。なじみ深い机の表面に、幽霊のような自分の顔が映ってる。
あぁそういえば、おれはもともと幽霊みたいなもんだったな。

カガミと会ってから、ずっと忘れていたけど。