zencro’s diary

乱歩奇譚SS

補給


「あー腹減ったなーなんか無いかなあ」
冷蔵庫を開けて、物色する。まずカレーのルーだとかマーガリン、紅生姜やラッキョが視界に飛び込んできた。うわぁ、いつ買ったやつだっけこれ。すぐ食えるもんは…っと、あったあった!魚肉ソーセージ。賞味期限3日過ぎてるけどまぁ大丈夫だろ〜っと在庫3本つかみ、ついでにマヨネーズと缶ビールを出して扉を閉める。
フンフンと鼻唄うたいつつパッケージを剥いてマヨネーズをぶっかける。
「こーれが、うまいんだぁー♫」
1本めは速攻で消滅し、2本めのフィルムをペリペリ、ここでようやくビールをカシュッと開けてゴクゴクと喉を鳴らしながら胃に流し込む。ひゃーッ、五臓六腑にしみわたるー!
あ、キュウリと大根もあったよなぁ。とまたガコッと冷蔵庫を開けて、冷気を放出しながら野菜室からキュウリと大根、あと味噌も引っ張りだす。ガッと洗って細長く切って、味噌とマヨネーズなすりつけてかぶりつく。んふぅー、と鼻腔から至福の鼻息が噴き出る。
「俺、味噌とマヨネーズがあれば大概のもん美味しく食えるよなぁ。あ、冷凍ごはんチンして味噌つけてグリルで焼こうかなあ」
食欲って、次々生まれるよねー。飢えてる時は腹がもういっぱいだよって脳に信号送る前にもう光の速さでガガガッと食いまくるからね〜たいてい後で後悔すんだけどさあ。
1缶めのビールを飲み干すと、ちょうどレンジであったまったごはんをアッチチチと握って味噌をテキトーにつけてアルミホイルにのせて弱火にして魚焼きグリルに突っ込み、2缶めにいこうかなーと思いつつ、
「あ〜いい気分になってきたから、一曲披露しちゃおっかなー?」
流しで手を洗って、畳部屋に入って押入れに突っ込んであったウクレレを引きずり出した。ペン、ぺペンと弾いてみる。うわー久しぶりだなー。
「やさぐれたラブソングとか、良いよねー」
ムシャクシャしてた一時期、ヤケクソになって弾き覚えたやつとかね。
「ワン、ツ、せーの」

 きみは俺の太陽
 俺の唯一の歓び
 曇りの日もきみがいれば幸せ

ハァ~♫と歌いだしたところで、何か香ばしく……だが、焦げるにおいが漂ってきた。
「おわああぁ味噌だ味噌が焦げてる!!」
バタバタと台所へ飛び込んで慌てて火を止める。ちょいと黒くなった味噌焼き握り飯に、焦げの味が緩和するかな~と大葉を巻き付けてー、っと。
「いっただっきまぁーっす」
頬張りながら2缶目のビールをあおってたらね、なーんか思い出してきちゃったよねーこの曲覚えたきっかけ。
あいつもさ、まっすぐでいいやつだったんだよなあ。
「うん。」
またひと口、頬張り、もぐもぐと咀嚼し、ごくりと飲み込む。
「今度は、俺がしっかり頑張ってやらないとね。」
 
 どんなにきみを好きだかしらないだろ
 どうか俺から太陽を奪わないで