zencro’s diary

乱歩奇譚SSと雑記

憧れの


お前が捕まったばかりの頃、面会に行った俺に言ったよな、「憧れの先輩のままでいてください」ってさ。それ聞いた時、俺、返り討ちに遭ったような気がしたんだ。だって俺はね、俺の方がさ、お前に憧れてたんだよ。
お前が俺の隣に初めてやってきた時、まっぶしかったよなあ目なんかキラッキラでさあー。こんな奴ホントに居たんだー、本気で一所懸命で世の中の役に立ちたいって意思が体じゅうから滲み出てるような奴が、ああずっとそうだと良いなあ、助けてやりたいなあってさ。

助けられなかったけどさ。

で、
お前が捕まって、別のやつと組んでさ、相変わらず探偵さんらと連絡取り合ってさ、俺何やってんだろって思っちゃうんだよ。お前が隣にいないこんなところで、お前が居ないのにまいんちお前が居た時と同じように寝て起きて仕事して飯食って、ホント俺何やってんだろって。なんか知らないうちに笑ってるしさ、思ってる事とやってる事ちぐはぐでさ、正気の沙汰じゃないよホント。

でさ!

おまえが出てくるって聞いたとき、俺がどんなに嬉しかったかわかる?口ぱくぱくして目玉全開でさ、瀕死の金魚みたいに見えたんじゃないかなあ。体から蒸気みたいなもんが渦巻いて噴き出すみたいな、気が違ったんじゃないかって思うほど、まだこんな感情がじぶんにあったかと思うほど、有頂天ってこういう事だよねきっと。探偵さん気味悪がってたよなあ。出所したお前がどんなに辛いか、困難な人生送らなきゃならないかなんて頭ではわかってるのに、それ埋め尽くしちゃうくらいものすごいマグマみたいに嬉しさがどかどかなだれ込んでくるんだ。

忘れないで、カガミは俺の憧れなんだよ。おまえに出会った時から、たぶんこれからも、お前はずっと俺の憧れなんだ。