zencro’s diary

乱╲(・ω・)/歩 ╲(・ω・)/奇╲(・ω・)/譚

腐要素あり

夜の蝶

琥珀色のアルコール、華やかな香水の香り。「またねー、刑事さんたちぃー」きゃあきゃあ嬌声を浴びつつナカムラたちは外に出た。 湿気をたっぷり含む夜風が二人の体を包む。 「カガミちゃん、こういうとこは嫌いだった?ほとんど口開かなかったねえ」 「慣れ…

チョコ

「おじゃまします、非番のところすみません」 ぺりぺりぺり 「?」 奥の六畳間でナカムラがちゃぶ台に向かって背を丸めていた。 「ナカムラさん」 「んー?」 ぺりぺりぺり 「何してるんです?」 「あ、これね」振り向いたナカムラの指先に銀色の小さな棒が…

聞き込み帰り、商店街を突っ切る途中。 シャッターを降ろしている店が多い中、ぽつんと小さな果物屋が開いていた。 年始まわりに買い求める客でもいるのだろうか、季節外れの果物を詰めた箱やかごが所狭しと並んでいる。その中で、瑞々しく鮮烈な赤が目を引…

食慾

ナカムラさん ナカムラさん ナカムラさん よばれるたび背筋がぞくりとする、心臓が破れるかと思うほど鼓動する。カガミちゃん カガミくん カガミ警視 言われるたび躰を巡る血流が、怒涛となって全身が火照る。息が、あがる。 傍目に気づかれないようにするの…

電話

…はい寝てた? いえ。何かありましたか?ごめん、そういう訳じゃ無いんだけど何でしょうあのね、おれ、カガミに会えて良かったなぁえ突然ごめんなー なんか急に、無性に聞いてもらいたくなっちゃって私も、ナカムラさんと一緒に働けるのが嬉しいですえへへナ…

視線

最近さ、なんか視線を感じるんだよね そうですか それほど気持ち悪いわけでもないんだけどね おれどっかおかしいかな。あれか、自意識過剰?なのかな …ナカムラさんは、おかしいことなんてありませんよ そう? カガミがそう言うなら大丈夫かなあ 大丈夫です……

ポインセチア

「やー、思ったより手間取ったね」 「すみません、俺が要領を得ないばかりに」 「いやぁ、こういう事は窓口の人との相性もあるからなー。波長が合わないとさ、まーなかなかまとまらないもんだよ」 区役所での用事を終え、ふたりが外へ出ると透きとおった空の…

欠片

パリーン 陶器の割れる音がして、ナカムラがぞの場にしゃがみ込む。「あーーーやっちゃったああああ」見れば彼の足元には白い「C」のかたちのかけらが転がっている。「このカップ気に入ってたのにな、あーあ」持ち手が取れてしまったマグカップを拾い、散乱…

「や、きょうは一段と冷えるねえ」帰って来たナカムラは猫背をさらにまるめてブルっと震え、六畳間に座る。「ナカムラさん、また靴下も履かないで。素足じゃ、ますます冷えますよ」「だってムレるんだもん。家にいるときくらいうっとおしいもん外して清々し…

空気

このままでは、まずい。とカガミは思った。自分は昔から、あまり人の体に触ったりすることは無かった。たった一人の肉親だったトキコに対しても、せいぜい頭をなでるぐらいだったと思う。 それが、出所後ナカムラさんに厄介になってしばらくたった最近では、…

朝の風景

ナカムラさんの朝はそれなりに早い。だが寝起きは悪い。 ペタンコな布団で目覚めるといったん丸まり、2、3秒後「ううーん」という声を発してぐいーんと手足を伸ばす。そのままうつぶせになってまた2、3秒後に「ふんっ」と言って体を布団から引き剥がす。一気…

芋虫異聞

ナカムラがカガミ部長の下に配属となって2年ほど経った。初めは何かと言えば正義だ義務だと堅すぎるがために周囲との衝突も多い上司に辟易することも無いではなかったが、やがてその真面目な仕事ぶりと熱意に憧れを抱くようになっていった。 ある日ナカムラ…

再会

ちょっと一杯だけのつもりだった。 だが最初に寄った店は閉まるのが早く早々に放り出されてなんだか気分が収まらない。 「仕方ねぇなあ」ともう少し長くやっていそうな店を物色する。 程無くステンドグラス風の看板の光に引き寄せられ、その店のカウンターに…

kawaii(乱歩奇譚ワンクリお題「寝起き姿」)

「そういえばふたりで探偵事務所に来るの珍しいですよね?…あれっ留守かな。上がって待ってましょうか」 ナカムラは慣れた様子で合鍵を使い、刑事二人は部屋に上がりこんだ。 「あー、なんだぁ探偵さん寝てるよ。へぇ、宮付きだの天才少年探偵だの言っても、…

ドレス

カガミが釈放された。 出所の日、外で出迎えたナカムラは、しかし彼の様子がおかしいと勘づいた。 出所時の手続きも受け答えもちゃんとこなしていたのだが、何かがおかしい。 それは、馴染みの探偵事務所の連中も察したようだった。 それでも、その日は何か…

バレンタイン

ナカムラが待機する車に、カガミがドアを開け助手席に座った。 「あー警視、明日の捜査ですがね、…え?」 車を出そうとするナカムラの手を遮り、カガミがキーを戻した。 「えっ?何なに、なんなの?」 「もう、いいかげんにしませんか」 いつもの穏やかな口…

愛してる/愛してない

「ナカムラさん、私を愛してますか?」「なんだよ急に」 「私は、ナカムラさんを愛しています」 「……ありがと」 「いや、お礼ではなく」 「今後ともよろしく」 「あいさつでもありません!」 「なんだってのよ」 「ナカムラさんからも、愛してると言ってほし…

告白

カガミは一般人相手だと、どうも歯切れが悪くなるらしい。今日も、地取りでG街を回っている時に妙な絡まれ方をしてこちらに救いを求めるような顔を向けてきた。で、おれが間に入ってその場を収めたのだけど。 「ねえ、どうしてそう弱腰になるのさ?ささっと…

日常

[1]「ねえ、カガミく-ん」 デスクで入力作業をしているカガミの背後から、突然ナカムラが抱きついた。 「!?」 一瞬、何が起こったか理解できず硬直するカガミ。 「なっ、なななんですか?!」 首に回した腕をゆさゆさ揺さぶりながら、無精髭の生えた頰…

鑑賞

「こないだ見た映画ですけど」 「うん」 「年上の女の子のベッドにもぐりこんだ男の子が」 「あー、男の子は成長止まってて見てくれは幼いけど実年齢は女の子と同じだからね?」 「ああ、そうでした。で、彼女のむきだしのへそにパウダーふりかけて」 「おま…

花火

「カガミさーん、こっちですよー」 「あ、ナカムラさんもいるな。あたま一つ分低いから分かんなかったな」 「やあコバヤシ君、流石に混んでるね」 「ここからだと割とよく見えますからねー両側の街灯がちょっと邪魔ですけど」 「だから有料席で見ればいいと…

疑惑

「あー、ついに降ってきましたねえ」 「ええ、駅まで急ぎましょうか」 築地署まで出向いて用を終えた後、外へ出たらポツポツと落ちてきた。 急いで手近の地下鉄入口へ入り、ふうと一息ついたら背後にものすごい雨音。 「ひゃあ間一髪だったねえ」 「うわ、す…

朧月夜の後日譚

1. 「ナカムラさん、ちょっといいですか?」 会議室から退出する際、カガミが声をかけてきた。他の署員がみな退出した後、俺とカガミだけになると、カガミがいきなり頭を下げた。 「この間、宴席では失礼しました!」 あれ?憶えてたの? 「酔っていたとはい…

ホットケーキ

「アケチ先輩って、料理得意なんですよね。なにか作ってくれませんかー?」 「誰から聞いた」 「カガミさんですが」 「う、言ってはまずい事だったか、アケチ君?」 「まあまあ、探偵さんそんなに睨み据えたら警視びびっちゃいますよ?悪口じゃなく褒めてん…

朝食

夢から醒めきっていないのか寝足りないのか。 なんだか、ふわふわとした心持ちだなあ…… そう思いながら、いつものように台所に立った。 そうだ冷凍庫にシャケの切り身残ってたな、そのまま焼いちゃえーとグリルに投入。 茄子とネギと油揚げで味噌汁にしよう…

受容

「ナカムラさん、俺の身柄を引き受けたこと、後悔してませんか?」俺の顔をまっすぐ見下ろす汗ばんだ顔が、外から微かに漏れる月明かりでぼうっと光ってる。 「なんで、いまさら?」 見上げて、もうとっくに憶え込んだ台本を読むように答えた。 「後悔なら、…

痕・風邪

痕「はぁー、風呂っていいよねえー。最近はめんどくさくてシャワーばっかだったけどさ、たまには湯船につからないと体がほぐれなくなっちゃうよなあ」 湯気のこもる浴室で、誰に言うともなく大きな声で独り言を言う。 「風呂は命の洗濯ってねえー」 湯船に寝…

朧月夜

「眠れないなぁ」 ナカムラは前髪に隠れた目をパッと開いて呟いた。深夜帰宅して食事も風呂もそこそこに布団にもぐりこんだが一向に寝付けない。 もう5月だというのに足先は冷え切っていくら布団にくるまっても血が巡らず、頭は芯から疲れ切って鉛のように…

HAPPY END

「ナカムラさん」耳朶の後ろからカガミが呼びかける。 それだけなのに、すべての意識がそこ一点に集中する。 後ろ手に彼の髪に指をくぐらせ目を閉じる。 「そこに居るんだなぁ、カガミ」「はい、ここに居ます」 それだけなのに、なんて幸せなんだろう。「ナ…

辞職

「大丈夫だよー君はもう充分1人でやっていけるし『ナカムラさん』無しでもぜーんぜん問題無いってー」 ナカムラさんは猪口を乾して目を糸にしながら言った。 帰りぎわ、辞表を出したと言われ「じゃっ♫」と去っていくのを慌てて追いすがり、とりあえずいつも…