zencro’s diary

乱╲(・ω・)/歩 ╲(・ω・)/奇╲(・ω・)/譚

ハシバ

再会

ちょっと一杯だけのつもりだった。 だが最初に寄った店は閉まるのが早く早々に放り出されてなんだか気分が収まらない。 「仕方ねぇなあ」ともう少し長くやっていそうな店を物色する。 程無くステンドグラス風の看板の光に引き寄せられ、その店のカウンターに…

おやつ

「こんにちはセンパイ」「おじゃまします」 「またお前らか。今日は眠い、帰れ」 「ハシバ君がアップルパイ持ってきてくれたんですよ、みんなで食べましょう」 「人の話聞いてるか」 「だって、ハシバ君のお母さんのお手製ですよ?フィリングだって、財閥の…

ホットケーキ

「アケチ先輩って、料理得意なんですよね。なにか作ってくれませんかー?」 「誰から聞いた」 「カガミさんですが」 「う、言ってはまずい事だったか、アケチ君?」 「まあまあ、探偵さんそんなに睨み据えたら警視びびっちゃいますよ?悪口じゃなく褒めてん…

立春

みぞれ混じりの中、彼らの墓の前に辿り着く。来ても別に何するわけでもなく、花を置き傘の柄を首と肩でおさえながらハイライトを取り出して一本口にくわえ、ライタで火を点ける。二口ほど吸うと、薄暗い灰色の景色の中で赤い色が点滅する。線香替わりのよう…

初詣

今年の元旦は自宅で過ごせることになっていたのでゆっくり寝ていようと思っていたら携帯が鳴った。やれやれと思って画面を見たら"コバヤシ"。ありゃー探偵さんの呼び出しかあ。「はいはいなんでしょう?」「明けましておめでとうございまーす。ナカムラさ…

海なんて嫌いだった。 顔にまとわりつくベタベタした粘度のある潮風や足指の間にいやらしく潜り込む浜辺の砂、そこらにはびこったフナ虫や蠢く小蟹、未練たらしく地べたや岩に貼り付いた海藻エトセトラエトセトラ。だが何より嫌いなのはどこまでも果てしがな…